SF第4戦オートポリス、野尻智紀が今季初勝利!

SF第4戦オートポリス、野尻智紀が今季初勝利!

 ■SF第4戦オートポリス、野尻智紀が今季初勝利!

シーズン折返しを迎えた全日本スーパーフォーミュラ選手権。第4戦の舞台は九州大分・オートポリス。11月中旬とは思えないほどの陽気となり、穏やかな日差しに包まれる中でのレース開催となった。今シーズンならではのフォーマットであるワンデーレースの当日は、予選でポールポジションを手にした#16 野尻智紀(TEAM MUGEN)が巧みなレース運びでポール・トゥ・フィニッシュを達成。今季初優勝を遂げている。

今大会をもって初めてレース参戦を果たしたのは、#51 シャルル・ミレッシ(Buzz Racing with B-Max)。一方、前大会で度肝を抜くパフォーマンスを披露した同チームのセルジオ・セッテ・カマラは、自身が参戦予定のフォーミュラEとの兼ね合いで欠場することに。代わってFIA F2に参戦していた松下信治が急きょ50号車のステアリングを握ることになった。さらに、世界耐久選手権の最終戦出場で欠場となる中嶋一貴と小林可夢偉の代替として、#36 宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)、#7 中山雄一(carrozzeria Team KCMG)がそれぞれ出場の機会を得、また今季は出場が見送られることになった#15 ユーリ・ビップス(TEAM MUGEN)の代わりはこれまで通り笹原右京が務めることになった。

A、B二組に分けて実施するノックアウトQ1予選から赤旗中断の荒れた展開となる中、B組ではタイトル争いでランキング暫定トップの#20 平川 亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)がクラッシュを喫し、自らが赤旗を招く事態に。決勝でもうまく流れを構築できず、今回は残念ながらノーポイントで戦いを終えている。そんな中、安定して予選で上位につけていたのがDOCOMO TEAM DANDELION RACINGの2台。Q3こそ野尻が1分24秒140とこれまでのコースレコードを大幅に更新するタイムでトップを奪ったが、2番手に続いた福住仁嶺はこれに遅れることわずか0.015秒。開幕戦以来となるフロントロウを掴み取った。3番手にはそのチームメイトである山本尚貴が続き、ホンダエンジン搭載車がトップ3を独占。トヨタエンジンユーザートップは4番手につけた#39 坪井 翔(JMS P.MU/CERUMO・INGING)だった。なお、このQ3に出走した#1 ニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM’S)は、ギリギリのタイミングでワンラップアタックを狙ったが、ピットを離れる際に痛恨のエンジンストール。リスタートが必要となり、このタイムロスによってアタックラップを確保できないまま、セッションを終えるという不測の事態に陥った。

#20 平川 亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)

#20 平川 亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)

 

#20 平川 亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)

#20 平川 亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)

午後に入るとさらに気温が上昇。青空のもと、穏やかな追い風が吹くコース上は、午後2時40分のスタートを前に気温22度、路面温度は28度という数値を刻んだ。なお、冬が近づく中でのレース開催を考慮し、今大会からスタート前のフォーメーションラップが通常の1周から2周へと変更。結果、レース周回数が42周から41周へと改められた。また、次大会からはタイヤへの加熱が認められるなど12月中のレース開催に向け、規則の一部改正が事前にJRP(日本レースプロモーション)から発表されている。

ダミーグリッドに整列した全20台。フォーメーションラップが始まる中、予選5番手の#65 大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)がクラッチトラブルでスタートできず、オフィシャルの手を介してコースへと向かうハプニングが発生。フォーメーションラップ2周を走行中に自身のグリッドについてスタートを切ったが、のちにドライブスルーペナルティが科せられている。

スタート

スタート

ポールの野尻がクリアスタートを決め、ホールショットを奪取。これに福住が続くも予選3位の山本がスタートでの加速が鈍り、予選4番手の坪井、さらに6番手の松下が先行した。レースは5周目を迎え、10番手を走行中の#4 サッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)が突然のスロー走行。左リアタイヤがホイールごと外れるアクシデントにより、最終の上り勾配付近でコースを外れてグラベルに停止する。しかし、走行中の車両への安全性を確保する意味合いからセーフティカーが導入され、7周目途中から9周終了までレースがコントロールされた。リスタートとなった10周終了時点からルーティンのピットインが可能となり、2台がコースイン。だがその翌周にピットインした坪井がアウトラップで左リアがパンク。第1ヘアピンであえなく車両を止める事態になった。そんな中、トップ走行中の野尻が12周終了でピットイン。やや時間がかかるものの無事に作業を終えてコースに復帰する。これを見てか、翌13周終了時には続々と車両がピットへと帰還。またこのタイミングで2回目のセーフティカー導入となったため、結果的に3台がステイアウトを選んだ形でレースが続けられた。

15周終わりでレースはリスタート。コースインを見送った3台のうち、見た目上でのトップとして山本がレースを牽引。見えない敵である野尻とは最低でも28秒のギャップが必要と認識していた山本はがぜんペースアップした状態で周回を続けていく。当初12秒強だった差は31周目には26秒1まで次第に広がるも、燃料が減って車重が軽くなってきた野尻がペースを取り戻し、2台の差はその後膠着し始める。逆に山本はタイヤが厳しくなり、ペースアップが難しい状態になっていく。ギリギリまで逆転に賭けた山本は39周終わりでピットインし、6秒6という早い作業でコースに復帰。だがすでに野尻は1コーナーへと入っており、山本は2位に。残り2周となってなお野尻との攻防戦に挑んだが、軍配は野尻に上がる結果となっている。なお、今季初優勝の野尻は今回の大量ポイント獲得により、シリーズ争いでも3位へと浮上する躍進を遂げた。2位山本に続き、3位は真っ先にピットインを実施、戦略が奏功した#64 牧野任祐(TCS NAKAJIMA RACING)だった。

優勝 #16 野尻智紀(TEAM MUGEN)

優勝 #16 野尻智紀(TEAM MUGEN)

 

2位 #5 山本 尚貴 (DOCOMO DANDELION)

2位 #5 山本 尚貴 (DOCOMO DANDELION)

 

3位 #64 牧野任祐(TCS NAKAJIMA RACING)

3位 #64 牧野任祐(TCS NAKAJIMA RACING)

 

優勝 #16 野尻智紀(TEAM MUGEN)

優勝 #16 野尻智紀(TEAM MUGEN)

 

第4戦を終え、シリーズランキングでは依然として平川がトップに君臨。これにキャシディはじめ野尻、山本、今大会で5位入賞を果たした山下が続いている。

決勝正式結果

(文:島村元子 撮影:中村佳史)