スーパーフォーミュラ 第1戦 富士 レポート&フォトギャラリー

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SF第1戦富士、野尻が完勝! ホンダ勢がトップ3を独占

2021年全日本スーパーフォーミュラ選手権の開幕戦が、静岡・富士スピードウェイにおいて行われ、予選から好調だった#16 野尻智紀(TEAM MUGEN)がポール・トゥ・ウィンを達成。速さと強さを存分に発揮、完勝でシーズンをスタートさせている。

シーズン初戦に出走を果たしたのは全18台。今大会は、コロナ禍で来日が果たせていない外国人ドライバーや海外レース参戦後で出走できないドライバーに代わり、若手ドライバーが出走のチャンスを得た開幕戦でもあった。なお、昨シーズンは有観客開催開催ながら、感染拡大防止の観点から予選と決勝を1日で行う「1Day開催」だったが、今シーズンから2日間で予選と決勝を行う従来の形式が復活。サーキットへ足を運ぶ観客も2日間の開催を満喫することとなった。

予選は、薄曇りながら春らしい天気に恵まれスタート。午前からぐんぐんと気温が上がり、その中でQ1、Q2、そしてQ3とノックアウト方式のセッションが進んでいく。Q1のA、B組には全18台が出走。A組ではディフェンディングチャンピオンの#1 山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)がQ2進出を逃すという波乱があった一方で、今季からフル参戦が実現した#15 大津弘樹(Red Bull MUGEN Team Goh)がA組のトップタイムを出す躍進を見せた。B組では朝のフリー走行でトップに立った野尻がトップ通過を果たす。

Q2には14台が出走。ピットで待機することなく野尻が早々にコースへ向かい、相手の様子を伺いつつ自らタイミングを見計らってアタックを開始すると、トップタイムをマーク。また、Q1でも野尻に続いた#64 大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)が2番手となり、3番手には#20 平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)がつけた。

いよいよQ3を迎えても野尻の好調さは変わらない。加えて、今シーズンからフル参戦のチャンスを手にした3人のルーキードライバー—大津、#37 宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)、そして#39 阪口晴南(P.MU/CERUMO・INGING)もQ3へと進出、最後の10分間のアタックラップに賭けることとなった。そんな中、Q2同様に野尻は自身のアプローチで1分21秒173をマークすると、ライバルをを寄せ付けず。結果、自身通算6度目のポールポジションを手にした。2番手には大湯、3番手は、病気療養中の牧野任祐に代わり出走する#6 笹原右京(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)となった。

翌日の決勝日はやや薄曇りとなり、冷たい風が吹く中で41周の戦いが幕を開ける。シグナルがブラックアウトすると、真っ先に大湯が1コーナーへと向かい、野尻の先行を封じ込める。しかし、野尻は焦らず大湯の動きを背後から見極め、10周目のヘアピンからオーバーテクシステムを使ってダンロップコーナーで詰め寄り、トップを奪還。勝負強さを見せつけた。野尻が順調にトップで周回を重ねる中、レースは中盤に入るとあちこちで激しいポジション争いが繰り広げられていく。今シーズンはオーバーテイクシステムの使用時間が昨年の倍となる200秒になったことで、バトルも激化。微妙な駆け引きが要所要所で見られることとなった。

一方、ルーティンのタイヤ交換は各車が雨の降り始めを伺い、そのタイミングが分かれた。その中で真っ先にピットインしたのが、山本。予選16番手から着実にポジションを上げ、早くも序盤の段階でシングルポジションまで浮上。ライバルより先んじてルーティンワークを済ませてさらなるポジションアップを狙った。しかしピット作業でのタイヤ交換に手間取りタイムロス。それでもレース終盤にかけて粘りの挽回を見せると6位入賞で戦いを終えている。

レースは中盤を過ぎてトップ野尻は変わらないが、トップから4秒ほど差がついた2番手大湯の背後に#5 福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が迫ってくる。サイド・バイ・サイドの2台はオーバーテイクシステムを多用した攻防戦となり、ついに24周目のコカ・コーラコーナーで福住が先行を果たす。この時点でタイヤの摩耗でペースが落ち始めていた大湯は25周でピットイン。コース復帰後には速いペースで周回を重ねた結果、後を追うようにピットインした福住がコースに戻ると、再び大湯に先行を許す結果となってしまった。

30周を前にぽつりぽつりと降り始めた雨は本降りにこそならなかったが、しっとりとコースを濡らすほどになる。コントロールが難しいコンディションながら、上位陣はピットインのタイミングを伺うばかり。2番手を走行していた平川がしびれを切らしたかのように38周終わりでピットインすると、ついに残るはトップの野尻のみ。その野尻はチェッカーまで残り2周となった39周終わりでようやくピットに帰還。冷えたニュータイヤでのアウトラップを懸命にコントロールするが、背後にはハイペースで周回を続けた大湯が迫りくる。ファイナルラップを前にした2台の差は4秒弱。猛追する大湯はファステストラップを叩き出す気迫の走りでトップを追ったが、惜しくも逆転には至らず。見事2番手をシャットアウトした野尻がポール・トゥ・ウィンを遂げ、シーズン最初の勝ち名乗りを上げた。2位の大湯に続いたのは、福住。予選同様にホンダエンジンユーザーがトップ3を独占する結果となっている。

(文:島村元子 撮影:中村佳史)