<GT500>
500kmの終盤までもつれたトップ争いを、Astemo NSX-GTが制す!
SUPER GT第2戦が、5月3、4日に静岡・富士スピードウェイにおいて開催され、予選10位スタートの#17 Astemo NSX-GT(塚越 広大/ベルトラン・バゲット)が巧みな戦略を味方にトップチェッカー。500kmの終盤まで続いた激闘を制した。
昨年は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点からゴールデンウィーク中の500kmレース実施が見送られたため、開催は2年ぶり。初夏に近づく絶好のレース日和の下で繰り広げられた戦いは、いつも以上の熱戦となった。
予選でポールポジションを手にしたのは、#19 WedsSport ADVAN GR Supra(国本 雄資/宮田 莉朋)。一発の速さで2番手の#8 ARTA NSX-GT(野尻 智紀/福住 仁嶺)に対し、1000分の3秒という僅差でチームとして5年ぶりのポール獲得を果たした。しかし、決勝では8号車がホールショットを奪取し、戦いを牽引。これに予選4番手の#36 au TOM’S GR Supra(関口 雄飛/坪井 翔)が追いつき、7周目にはトップに立つ。レース前半の31周目、コース上のハプニングを受け、SUPER GT初となるFCY(フルコースイエロー)が発動。これにより、各車それぞれギャップを維持し、制限速度80kmでの走行が求められた。そして、1回目のルーティンピットのため、FCY導入直前にピットへとクルマを戻していたのが17号車だった。結果、FCYが解除され、各車1回目の作業を終える頃には17号車がトップに君臨。これを36号車、#14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋 和也/山下 健太)、さらに8号車が追う形となる。
17号車はマージンを活かしてトップを堅持。だが、2回目のルーティンピットのタイヤ交換作業で痛恨のタイムロスを喫し、それを追う36号車も同様にピットで時間を取られてしまう。一方、遅めのピットインでスムースな仕事を見せたのが8号車。コース復帰後に17号車との激しい直接対決を制し、ついに82周目のストレートで逆転! さらに17号車は36号車の猛追を受け、3位へとポジションを下げた。
トップを奪還した8号車、勢いで勝る36号車、そして粘る17号車の3台が縦一列で攻防戦が繰り広げられる中、96周目から98周目まで3度目のFCYが発動されたが、この直後、まさかのドラマが立て続けに起こる。メインストレートの36号車がスピードを失いゆるゆると走行。一方、8号車には黄旗区間での追い上げに対する判定で、ドライブスルーペナルティが言い渡された。2台が思わぬ形で戦線離脱し、再びトップの座が巡ってきた17号車。その後も14号車、さらには着実にポジションを上げていた#37 KeePer TOM’S GR Supra(平川 亮/阪口 晴南)の3台で1秒以内のトップ争いを強いられたが、冷静にこれをシャットアウト。シーズン初優勝を遂げた。
<GT300>
攻防戦の中から抜け出したSYNTIUM LMcorsa GR Supra GTが初勝利
ドラマチックなレース展開は、GT300でも同様だった今大会。ポールポジションスタートの#61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口 卓人/山内 英輝)に続き、2位でオープニングラップを終えたのは、予選3番手の#60 SYNTIUM LMcorsa GR Supra GT(吉本 大樹/河野 駿佑)。緊迫のトップ争いを繰り広げたが、61号車がかろうじてトップを死守する。一方、予選4番手の#52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田 広樹/川合 孝汰)はライバルより先んじて行った1回目のルーティンピットで、タイヤ無交換を敢行。ポジションアップを狙った戦略どおり、レース中盤からクラストップで周回を重ねていった。
以後も52号車は順調に周回を重ね、これに#55 ARTA NSX GT3(高木 真一/佐藤 蓮)、60号車、さらに61号車と続き、逃げる52号車に対し、以下3台が激しい2番手争いを展開したが、その中からポジションを上げたのが60号車だった。頭ひとつ抜き出る形でレース運びを見せていた52号車だが、残り7周の時点でまさかのトラブルが発生。スロー走行のままピットにクルマを戻し、万事休す。これを受け、60号車がトップを奪取する。最終盤、55号車を逆転した61号車が迫るが、猛追を振り切りトップチェッカー。チームとして2019年第6戦以来の勝利を遂げた。
(文:島村元子 写真提供 GTA)