スーパーフォーミュラ 第4戦 SUGO レポート&フォトギャラリー

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SF第4戦SUGO、福住仁嶺が念願の初優勝!

6月19、20日に宮城・スポーツランドSUGOにおいて全日本スーパーフォーミュラ選手権第4戦が行われ、予選5番手スタートの#5 福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が優勝。果敢な攻めと速さを活かして序盤にトップを奪取すると、その後も安定した速さを味方にしてトップでチェッカー。自身国内トップフォーミュラでの初優勝を遂げている。

予選日となる19日の天気はあいにくの雨。折しも同日午前中に東北地方の梅雨入りが宣言され、前大会オートポリスに続いてウェットコンディションでの幕開けとなった。まず、午前中に行われた1時間30分間のフリー走行では、クルマの後方から水煙を高く巻き上げ、レインタイヤでのセッティングを確認する中で各車が周回を重ねていくが、終始降り続ける雨に走行ラインが定まらず、スピンやコースアウトする車両が続出。自力でコース復帰を果たせないクルマもあり、トータルで3度の赤旗中断を招いた。

午後になっても雨脚は変わらず。午後2時10分からのノックアウト予選においては、Q1に加えてQ2においても、A、Bの2組に分けて実施することが通知される。結果、従来どおりQ1各組から上位7台がQ2に進出し、Q2では、各組から上位4台がQ3に駒を進めることが可能となった。気温19度、路面温度20度の中、まずQ1A組がスタート。午前中より気温が下がったことを受け、各車タイヤを温めるためにそれぞれが策を講じてアタックラップへと向かっていく。他車の水煙を避け、なんとか走行ラインを確保する中でトップタイムをマークしたのは復帰2戦目の#6 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)。これに#39 阪口晴南(P.MU/CERUMO・INGING)、#37 宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)が続いた。さらにB組では#5 福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)と#51 松下信治(B-MAX RACING TEAM)が激しいトップ争いを展開。最終的に0.119秒差で福住がB組トップとなった。

続くQ2。このセッションから時間が7分となり、よりタイミングを見計らってのアタックに挑むこととなる。まずA組では、チェッカーまで残り1分を切ると各車自己ベストタイムをマークし、その中からトップに立ったのが阪口。宮田は0.097秒という僅差で2番手、これにQ1でトップだった牧野、#15 大津弘樹(Red Bull MUGEN Team Goh)が続いた。ところがディフェンディングチャンピオンの#1 山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)はタイムを伸ばせず、7番手。Q3進出が絶たれた。一方、B組のQ2では赤旗が提示される波乱の展開。Q1で3番手だった#38 坪井 翔(P.MU/CERUMO・INGING)トップタイムをマーク、だがその翌周の2コーナー進入で痛恨のスピン。エンジンが止まり、自力でコース復帰できない状態となる。そしてほぼ同時に松下が馬の背コーナーででスピン、グラベルにクルマを止めてしまう。こちらも自力復帰が叶わず、ここで赤旗が提示されセッションが中断した。残された時間は3分。出走7台のうち、坪井と松下の2台がタイム抹消となったため、限られたアタックチャンスにかけるのは5台。そしてその中から見事なアタックでポジションアップを果たしたのが#19 関口雄飛(carenex TEAM IMPUL)。福住に次ぐ2番手でQ2を突破、第3戦の覇者、#36 ジュリアーノ・アレジ(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)と#64 大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)もQ3進出を決めた。

いよいよ8台による最終アタックを迎えたQ3。一旦弱まっていた雨が再び降り始める中、トムスの2台が序盤から好タイムを連発。さらに関口が各セクタータイムでトップタイムを刻み続けると、1分20秒248のタイムでトップに立つ。これに福住が続くも、宮田が初めて19秒台のタイムをマークし、トップを奪取する。すると続けてアタックに入っていた関口がこれを上回る1分19秒231を叩き出し、再度トップへ。その後もライバルたちが19秒台の自己ベストタイム更新を果たしたが、関口のタイムを上回れず。これにより関口が2018年第6戦岡山大会以来となる、自身5度目のポールポジションを手にすることとなった。2番手にはチェッカー直前に大きくタイム更新し、関口に0.043秒まで迫った牧野。3番手に阪口が続いている。

決勝日は朝こそ雨が若干残っていたが、次第に天候が回復、午後には晴れ模様となり、澄んだ空がサーキット上空に広がった。午前9時から30分間のフリー走行ではこのレースウィーク初のスリックタイヤを装着して走行。ドライセットでの確認を進めた各車だが、決勝で力強いパフォーマンスを披露したのが福住だった。ポールの関口が難なくスタートを決めた一方、福住は出遅れた予選2番手の牧野に変わって浮上した阪口に迫ると、3周目の2コーナーでは阪口との激しい攻防戦を制して2番手をもぎ取る。一時は2.5秒差だったトップ2台だが、その後1秒1まで縮まると、ルーティンのタイヤ交換作業を含めこの先の戦略面でのアプローチに注目が集まった。

17周を終えてトップの関口がピットイン、7.6秒で作業を終えてコースに復帰する。一方の福住は前が空いたクリーンエアを最大限活かすため、オーバーテイクシステムを作動。さらに18周終わりでピットインし、チームは7.1秒で福住をコースへと送り出した。福住は関口の前でコースに復帰。ここで関口、さらには10周終了時にタイヤ交換を済ませていた大湯も背後に忍び寄ったが、福住は辛くも後方のシャットアウトに成功し、逆に関口は20周目の1コーナーで勝負に出た大湯に逆転を許してしまった。

レースは20周を過ぎるとルーティンのピットインを行う車両が続出。その一方で予選10番手からの巻き返しを図りたい#16 野尻智紀(TEAM MUGEN)が周回を重ねたタイヤでもハイペースを刻み、逆転のチャンスを伺う。ライバルとは大きく異り、終盤の41周終わりでピットインすると、6.7秒と素早い作業で6位でコースに戻り、フレッシュタイヤでファステストラップをマーク。勢いある走りで逆転を狙ったが、その前に立ちはだかったのが牧野。ともにオーバーテイクシステムを使いながら攻防戦を展開し、チェッカーが振られるまで2台のポジションが変わることはなかった。

福住は終盤に入ると、ややペースを落として軽くクルージング。53周を走り切り、悲願のスーパーフォーミュラ初優勝を達成した。2位には大湯、そして3位に関口が続き、粘りの走りで今季初となる表彰台に上がっている。

(文:島村元子 撮影:中村佳史)