<GT500>
GT-Rが表彰台を独占、勝者はMOTUL AUTECH GT-R!
灼熱の太陽こそなかったが、波乱に満ち溢れたレース展開となったSUPER GT第3戦鈴鹿。三重・鈴鹿サーキットで繰り広げられたシーズン前半最後の一戦は、見応えあるバトルが続き、中でも日産ファンが歓喜する展開となった。優勝は、予選3番手スタートの#23 MOTUL AUTECH GT-R(松田 次生/ロニー・クインタレッリ)。緻密なレース戦略を味方につけてシーズン初優勝を遂げている。
もともと5月末開催を予定していた鈴鹿戦。だが、コロナ禍でスケジュールが延期されて8月21、22日の開催となった。かつて鈴鹿1000kmレースが開催されていた時期だけに、今大会でも厳しい暑さとの戦いになるものと思われたが、蓋を開けてみれば鈴鹿は終始曇天模様。しかしながら、日曜の決勝こそ時折強い日差しと高い湿度でタフなコンディションとなった。
予選で最速ラップを刻んだのは、#64 Modulo NSX-GT(伊沢 拓也/大津 弘樹)。Q1、Q2ともにトップタイムを叩き出し、Q2担当の伊沢にとって通算3度目のポールポジションを獲得する結果に。2番手には#16 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT(笹原 右京/大湯 都史樹)が続き、NSX-GT×ダンロップタイヤのパッケージがフロントロウを独占。ともにシーズン初優勝を目指した。
一方、決勝は序盤から波乱の展開になる。順調にトップを守っていた64号車だが、マシントラブルにより5周目のシケインでコースアウトし、クラッシュ。FCY(フルコースイエロー)からSC(セーフティカー)へと切り替わっての作業が必要になった。12周目にレースが再開すると、トップ16号車を日産勢が猛追。16号車は20周終わりでルーティンのピットインを済ませて挽回を狙ったが、背後の日産勢の速さに逆転を許し、次第に遅れをとるようになった。ピット作業後にトップに立ったのは、アンダーカットを成功させた#3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-R(平手 晃平/千代 勝正)。これに、#12 カルソニック IMPUL GT-R(平峰 一貴/松下 信治)、23号車、さらには#24 リアライズコーポレーション ADVAN GT-R(高星 明誠/佐々木 大樹) が続き、GT-Rがトップ4を形成する。
終盤、ペースが上がらず3番手になっていた12号車を24号車が逆転。さらに、早めのピットインでタイヤを酷使してきた3号車には23号車が詰め寄る。41周目、ヘアピンカーブで3号車のインを取った23号車が鮮やかに逆転、トップに立つと瞬く間に差を広げて最後は独走状態に。今シーズン初優勝の23号車は、昨シーズン2戦開催の鈴鹿で連勝していることから、鈴鹿戦3連覇をを果たすことになった。また、GT-R勢は2014年第3戦オートポリス以来となる表彰台独占に成功している。
<GT300>
たかのこの湯 RC F GT3がうれしい初勝利
予選でトップタイムをマークしたのは#61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口 卓人/山内 英輝)。2番手#5 マッハ車検 GTNET MC86 マッハ号(平木 湧也/平木 玲次)に0.5秒の差をつけて今シーズン富士に次ぐ2度目のクラスポールを手にした。
レースでは、逃げる61号車をオープニングラップで3番手からひとつポジションを上げた#244 たかのこの湯 GR Supra GT(三宅 淳詞/堤 優威)が猛追。13周目のダンロップコーナーでイン側に飛び込むと、61号車を逆転する。一方、ルーティンのピット作業を済ませ、実質的なクラストップに立ったのは5号車。タイヤ無交換で作業時間を削る作戦に出たが、3周後にピットインした2番手の244号車は4輪交換しており、次第にその差が縮まる。そして迎えた38周目。少し前から西コースを中心にした降雨も影響してか、5号車、244号車、さらにその背後から#88 JLOC ランボルギーニ GT3(小暮 卓史/元嶋 佑弥)も迫る三つ巴の激しい攻防戦となる中、まず244号車が5号車をデグナー立ち上がりでパスしてトップをもぎ取る。さらに翌周、88号車がヘアピンで5号車を逆転。レース終盤にトップ3の順位が入れ替わった。この後、5号車は43周目のデグナーで痛恨のスピン。これにより、後方のNo. 4 グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝/片岡龍也組)に3位の座を奪われ、最終的には5位で戦いを終えた。初勝利が目前に迫った244号車だが、47周目のS字でGT500とまさかの接触。コースオフするシーンもあったが、なんとか立て直してこのままトップチェッカー。ドライバーふたりはもちろん、244号車としてチーム初勝利をあげている。
(文:島村元子 写真提供 GTA)