<GT500>
ARTA NSX-GTが待望のシーズン初勝利!
10月24日、大分・オートポリスでSUPER GT第6戦決勝レースが行われ、予選4番手スタートの#8 ARTA NSX-GT(野尻智紀/福住仁嶺)が荒れたレースを味方につけ、最後は”ひとり旅”に持ち込んで戦いを制した。前回のSUGOではポールポジションからトップを快走するも、ピット作業違反で後退。速さに定評があったチームが、ようやく熱望していた初優勝を果たしている。
予選ポールポジションは、戦いを重ねるごとに速さを身に着けてきた#16 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT(笹原右京/大湯都史樹)が獲得。今シーズンの戦いも残り3戦、搭載ウェイトが最大となる今大会は、比較的ウェイトが軽いチームにとって絶好のチャンス到来と言える一戦だけに、なんとしても結果を残したいところ。それは16号車にとっても同じ思いだった。スタート直後こそ予選2番手の#14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太)に先行されたが、14号車はシーズン3基目のエンジン搭載によるペナルティ消化のため、その後ピットへ。再び16号車がトップに返り咲いた。だが、序盤にGT300クラス車両がクラッシュ、フルコースイエロー(FCY)が導入され、さらに、セーフティカー(SC)ランへと切り替わるレベルのアクシデントが発生する。その後、落ち着いてリスタートを決めた16号車だったが、あろうことか右リヤタイヤがホイルごと脱落するというまさかのハプニングに見舞われ、戦線離脱の不運に見舞われ、レースを終えてしまう。
今回のレースでは、気温、路面温度が思ったほど上昇せず、どのチームもタイヤコントロールに腐心。また、コース上ではクラッシュや接触などもあり、1回のFCYと2度のSCが導入される慌ただしい展開となった。16号車の戦線離脱後、予選3番手の#64 Modulo NSX-GT(伊沢拓也/大津弘樹)がトップで快走を続けたが、ピット作業後はペースが思うように上がらず、追い上げてきた8号車に逆転を許してしまう。さらに後続車からの猛追にも苦しめられ、次第に後退するという悔しい結果になる。また、8号車の独走に対し、残りの表彰台を巡って攻防戦は激化。その中でも決勝を見据えたタイヤ選択が奏功した#38 ZENT CERUMO GR Supra(立川祐路/石浦宏明)が躍進する。予選10位、しかもエンジン交換によるペナルティでピットストップを消化、またピット作業後は最後尾からの追い上げを強いられたが、38号車はライバルよりもハイペースで周回。難しいコースコンディションの中で終始攻め続け、今シーズン待望の2位表彰台に上がった。3位に続いたのは#23 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)。今回、日産勢はエンジン系の問題が発生していたようで、23号車も安定したペースラップを刻むことが難しい状態だったが、絶妙なレースコントロールで後続を封じ込めてシーズン2度目の表彰台に上がっている。
<GT300>
TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTがポール・トゥ・ウィン!
予選では僅差でクラスポールを手にした#31 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT(嵯峨宏紀/中山友貴)。決勝は、31号車に#61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)と#52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰)が続き、三つ巴に近い状態で周回を重ねた。レース序盤から中盤にかけ、FCYやSCが続き、落ち着かない展開が繰り広げられる中、本格的にポジションが動いたのは、ルーティン作業後だった。61号車が31号車の前でコース復帰を果たしたが、ひと足先に作業を終えていた31号車が逆転。自分たちの”元の位置”に戻り、さらに後続との差を広げていく。逆に61号車は、これを機に#96 K-tunes RC F GT3(新田守男/阪口晴南)にも先行を許してしまい、3位へ。上位3台のうち、唯一100kgのウェイトを搭載する61号車にとってタフな戦いになったことは明らかだが、今回、チャンピオン争い中のライバルは最重量のウェイトが響き、ポイント圏外での周回を強いられただけに、61号車の底力を再認識することにもなった。なお、2位獲得の96号車は、阪口が開幕戦以降、GT500クラスで助っ人参戦していたため、今回は”GT300クラス・シーズン初”となる2位入賞に成功。新田とともにポディウムに上がった。そして3番手には61号車が続き、王者獲得に向けて貴重なポイントを計上している。
(文:島村元子 写真提供 GTA)