スーパーフォーミュラ第1戦富士

23年SF開幕戦、ワンデーレースの初戦ウィナーはルーキーのローソン！

4月8日、静岡･富士スピードウェイにて2023年全日本スーパーフォーミュラ選手権が開幕し、第1戦の予選および決勝が行われた。シーズン最初の大会は土曜、日曜にそれぞれ予選と決勝が開催される。波乱の展開となった初戦は、予選3番手スタートのルーキー、#15 リアム･ローソン（TEAM MUGEN）が冷静沈着なパフォーマンスで優勝を飾っている。

シーズン初戦の富士大会、そして最終戦の鈴鹿大会において2レースを実施する23年のスーパーフォーミュラ。7大会で全9戦が開催される。初日は曇天模様の朝を迎えたが、当初予定されていた前日の専有走行は本降りの雨、悪天候によってキャンセルとなっており、初日の8日はいきなりぶっつけ本番の予選セッションを迎えることになった。これにより、おなじみのノックアウト方式の予選ではなく、45分間に渡り全22台によるタイムアタックの計時方式が採用された。

鈴鹿サーキットでの公式テストからおよそ1ヶ月。ルーキードライバーの中ではローソンが富士スピードウェイ初走行ながら、好タイムをマークして3番手グリッドを獲得。そして、ポールポジションは昨年のディフェンディングチャンピオンである#1 野尻智紀（TEAM MUGEN）が手中に収めた。野尻はライバルたちがセットアップに時間を割く中、早いタイミングでアタックを決め1分22秒062をマーク。セッション終盤、次々とニュータイヤでアタックに挑んだライバルは野尻のタイムを上回れなかった。

: 予選ポールポジション #1 野尻智紀 [TEAM MUGEN]

: 予選2番手 #37 宮田莉朋 [VANTELIN TEAM TOM’S]

: 予選3番手 #15 リアム・ローソン [TEAM MUGEN]

予選から4時間あまり経って迎えた初戦の決勝。41周の戦いは波乱続きの展開を見せる。気温18度、路面温度29度ながら上空は薄曇りのまま。まずはポールスタートの野尻がクリアスタートを決めてホールショットを奪取。しかし、その隣、2番手スタートの#37 宮田莉朋（VANTELIN TEAM TOM’S）は出遅れる。また、目を見張る好スタートを見せたのが、予選4番手スタートの#53 大湯都史樹（TGM Grand Prix）。1コーナー飛び込み前に2番手まで浮上、これにローソンが続く形となった。さらには予選10番手から#64 山本尚貴（TCS NAKAJIMA RACING）も5番手へとアップを果たしている。

一方、スタート時には4台がエンジンストール。さらに1コーナー進入を前にして、#19 関口雄飛（ITOCHU ENEX TEAM IMPUL）、#3 山下健太（KONDO RACING）、#7 小林可夢偉（Kids com Team KCMG）の3台が接触。うち、関口はそのままレースを続行するも、山下と小林は戦列離脱に。そして2周目の1コーナー進入では、#38 坪井翔（P.MU/CERUMO･INGING）に#5 牧野任祐（DOCOMO TEAM DANDELION RACING）が追突。2台はそのまま走行を続けてピットへ。坪井は復帰できなかったが、牧野はフロントノーズとすべてのタイヤを交換してコースに戻った。なお、この接触によって1コーナー進入付近にはデブリが散乱。セーフティカー（SC）導入となった。

7周終わりでSCが解除されると、8周目にはすぐさま2番手大湯と3番手ローソンが激しいバトルを展開。コカ･コーラコーナーまで2台はサイド･バイ･サイドを繰り広げたが、ローソンの粘り勝ちとなり、逆に大湯は態勢を崩して後続車に飲み込まれる。レースは10周が終わるとルーティンのピットストップを始める車両が現れるが、上位グループはステイアウトで周回を重ね、トップの野尻が22周終わりでピットに飛び込み、6.4秒で作業を終えてコースに復帰したが、なんとその背後には1周前に作業を終えていたローソンが迫りくる。結果、ペースを上げるローソンに対し、野尻は冷えたタイヤで太刀打ちできずに逆転を許すことに。ピット作業を終えたグループ内でトップに立ったローソンがは野尻との差を着実に広げる力走を見せたが、逆に野尻は思うようにペースを上げられず後ろを走る#64 山本尚貴（TCS NAKAJIMA RACING）にも差を詰められる。そんな中、32周を終えて全車両がピットインを完了し、名実ともにローソンがトップとなって野尻におよそ5.8秒の差をつけてレース終盤を迎える。

レースは36周目の1コーナで4番手を走行していた#20 平川亮（ITOCHU ENEX TEAM IMPUL）が、山本を攻略して3番手に浮上。続く37周目には、後方車両の2台が1コーナーで接触するアクシデントが発生し、2台ともオーバーランしてストップ。これが2度目のSC導入を招いてしまった。車両回収が行われる中、このままSCでレースが終わってしまうのか、あるいは残り1周でレースが再開するのか注目が集まる中、結局はSCランのままレースは終了。ローソンが衝撃のデビューレース･ウィンを達成することとなり、野尻は2位に。そして残る表彰台の一角は平川が手にする結果となった。