SUPER GT第3戦鈴鹿、赤旗終了でWedsSport ADVAN GR Supraが暫定勝利
<GT500>
6月3、4日、三重・鈴鹿サーキットでおいてSUPER GT第3戦が開催され、今シーズン2回目となる450kmの戦いは、終盤に大クラッシュが発生。赤旗提示をもって終了し、58周を終えた結果で#19 WedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/阪口晴南)の優勝となった。しかし、結果を巡って抗議および控訴が行なわれており、現在は暫定結果のまま留保されている。
レース搬入日となる金曜日は台風2号の影響を受け、激しい雨模様に見舞われた鈴鹿地方。しかしながら幸いにも夜半に雨が上がり、午前中の公式練習はほぼドライコンデイションでの走行が可能となった。このセッションでトップタイムをマークしたのは、#24 リアライズコーポレーション ADVAN Z(佐々木大樹/平手晃平)。これに#36 au TOM’S GR Supra(坪井翔/宮田莉朋)が続く結果となった。
午後に入っても冷たく強い風に変わりはなかったが、眩しい日差しが照りつけて、気温、路面温度ともに上昇する中でノックアウト予選がスタートする。まず、Q1をトップ通過したのは#19 WedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/阪口晴南)。これに0.077秒の僅差で24号車が2番手通過を果たす。さらに#17 Astemo NSX-GT(塚越広大/松下信治)が3番手に続き、3メーカーがトップ3を分け合った。
午後4時36分からのQ2では、出走8台のうち6台はコース上でタイヤを温めながらアタックに入ったが、19号車と24号車はしばしピットで待機。ワンラップアタックを選択したようで、残り5分の時点でコースへと向かう。チェッカーラップに次々と各車ベストタイムをマークする中、#100 STANLEY NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐)がトップタイムを更新するが、すぐさま36号車がトップを奪取。一方、Q1のトップだった19号車はミスが重なり、36号車のタイムを上回れず。そんな中で最後にチェッカーを受けた24号車が1分44秒320をマーク、トップに躍り出た。
昨シーズン第7戦オートポリス以来となるポールポジションを手にしたと思われた24号車だったが、のちの再車検で違反が発覚。正式結果には『GT500テクニカルレギュレーション1.6.1「ガスバック容量違反」』と記され、決勝は最後尾からスタートを切ることになった。これを受けて、36号車がポールポジションを獲得。2位は19号車、3位に100号車がそれぞれ繰り上がる結果となった。
日曜日も爽やかな晴れの天気に恵まれた鈴鹿。風も穏やかとなり、絶好のレース観戦日和になった。午後1時30分、三重県警の白バイとパトカーが先導するパレードラップ、そしてフォーメーションラップに続き、77周の戦いが幕を開けた。ポールポジションスタートの36号車が安定感ある走りでレースを牽引。一方で予選4番手の# 1 MARELLI IMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット)が100号車を猛プッシュ。逆転に成功した。
レースは7周目にGT300車両の1台からタイヤが外れるアクシデントが発生。FCY(フルコースイエロー)からSC(セーフティカー)ランへと切り替わる。これにより各車のマージンが消滅し、フォーメーションラップを経て13周目にレースリスタートすると、19周目終わりには早速1回目のルーティンワークを行なうチームが出始める。また、24号車がGT500クラスで最後のピットワークを終えると、19号車がトップに躍り出ることとなった。これに続いたのが1号車。これまで上位争いができていなかった1号車だったが、今回は優勝争いに加わる走りを見せた。そして42周終わりという早いタイミングで2回目のピットインを敢行。トップ19号車をアンダーカットする作戦に打って出た。その19号車は46周を終えてピットへ。1回目のピットでドライバー交代を済ませていたため、短時間でコース復帰を果たすと1号車の先行を見事阻止して見せた。一方、36号車は思うようにペースが上がらず苦戦。ピット作業を終えて19号車の前でコースに戻ったものの、19号車にあっさりと抜かれてしまった。
レースは終盤に入り、55周の時点で2回目のピットインを終えていないのは# 3 Niterra MOTUL Z(千代勝正/高星明誠)のみとなる。そんななか、59周目の130Rからシケインと向かう車両3台が並走の末に接触。うち、コースアウト側にいた23号車がバランスを失い大クラッシュに見舞われる。これを受けてレースはセーフティカー導入が宣言されたが、間髪入れず赤旗が提示されてレースが中断した。23号車に乗っていた松田次生は意識ある状態で救出されて検査のために病院へと搬送されたが、幸いにして大きな外傷は見られないということだった。一方、レース主催者は、クラッシュで損傷を受けたタイヤバリヤやガードレールなどの設備修復に長く時間を要することから、競技継続が困難であると判断。結果として赤旗提示をもってレースは終了することになった。
赤旗が出る1周前、58周目の結果で順位が確定することになり、この時点でトップを走っていた3号車が一旦優勝扱いになったが、3号車はルーティンである2回のピットインを済ませてはおらず、この結果に対して10チームから抗議がなされた。のち、大会審査委員会がこの抗議を正当とし、改めて暫定結果が発表された。これによって3号車には60秒加算のペナルティが課せられ、4位に。19号車が繰り上げ優勝となった。のち、3号車がこの結果に対して抗議を行なうと、大会審査委員会はこれを却下。これを受け、3号車は控訴を行なう意志を書面で明らかにしたことから、レースの結果は控訴結果が確定するまで保留扱いになっている。
<GT300>
第2戦まで不発が続いていた#61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)が公式練習から好調の走りを披露。その勢いのまま予選でもポールポジションを獲得した。Q2を担当した山内は、自身通算13回目のポールを手にし、歴代最多タイ記録にもなった。予選2位は#11 GAINER TANAX GT-R(富田竜一郎/石川京侍/塩津佑介)、3位に#60 Syntium LMcorsa GR Supra GT(吉本大樹/河野駿佑)が続き、GTA-GT300規定車両が上位を独占する。
レースになっても61号車は序盤から快走を続け、2位以下との差を広げていく。一方、オープニングラップを終えて3台、その翌周に1台がピットイン。1回目のルーティンを早々に終える戦略を採った。6周目、ピット作業を終えたばかりの#18 UPGARAGE NSX GT3(小林崇志/小出峻)がアウトラップでまさかのダイヤ脱落。ヘアピンでストップしたことを受け、FCYが宣言されたのちにセーフティカーランへとスイッチ。このアクシデントで61号車は大量のマージンを一気に”排出”する羽目になった。
レースは12周終わりにリスタート。気も新たに61号車は改めて後方に差をつける走りを見せて周回を続けたが、レース開始直後にピットインを済ませていたチームが台頭しはじめ、#52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰)と# 2 muta Racing GR86 GT(堤優威/平良響/加藤寛規)の2台がポジション争いを展開し、2号車がクラストップを奪取した。だが、2回目のルーティンワークを終えてコース復帰するタイミングで痛恨のオーバーラン。その脇を# 7 Studie BMW M4(荒聖治/柳田真孝)の逆転を許すことになってしまう。
結果、7号車を先頭に、2号車、52号車といずれも早期にピットインを済ませた車両がトップ3を形成。のち、59周目の大クラッシュが発生するまで順位に変動はなかった。結果、7号車が昨年の第3戦鈴鹿に続き、大会クラス2連覇を達成。2号車、52号車も第2戦富士に続き、同じ順位でレース終了を迎えている。
これよりサマーブレイクを迎えるSUPER GT。8月5、6日に開催される第4戦富士も再び450kmでの戦いとなる。搭載するサクセスウェイトによってコンディションが異なるだけに、第2戦富士とは違った展開になる可能性が高そうだ。
(文:島村元子 撮影:中村佳史)