スーパーフォーミュラ 第5戦 SUGO レポート&フォトギャラリー

スーパーフォーミュラ 第5戦 SUGO レポート&フォトギャラリー

SF第5戦SUGO、宮田がシーズン2勝目を飾る!

6月17、18日、宮城・スポーツランドSUGOにおいて全日本スーパーフォーミュラ選手権第5戦が開催された。レースは予選2番手スタートを切った#37 宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)が戦略と速さを武器に申し分ないレース運びを披露。第3戦以来となる優勝を果たした。

7大会、全9戦で繰り広げられる今シーズンのスーパーフォーミュラも、今大会で5戦目。折返しを迎えるという意味合いからも重要な位置づけの一戦となる。戦いの場所はみちのく仙台、スポーツランドSUGO。およそ1週間前に梅雨入りの発表があったばかりだが、土曜、日曜ともに好天に恵まれて夏本番の暑さになった。

全長3.6kmあまりのショートコースであるSUGO。コース幅も広いとは言えず、”コンパクト”というイメージが先行する。また、日本のサーキットとしてはもっとも標高差が高いことでも知られ、テクニカルなセクションが続くコースだけにドライビングミスを誘発しやすく、荒れる展開になることも多い。予選でもQ1・A組でコースアウトが発生し、ちょうどアタックラップで自己ベストタイムを更新した複数のドライバーが、最終的にそのタイムを抹消されることとなった。

その予選、まずQ1・A組でトップ通過を果たしたのは#37 宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)。これに前回のオートポリス戦では肺気胸に見舞われて急きょ欠場となった# 1 野尻智紀(TEAM MUGEN)が続いて復活をアピール。さらに今シーズン復調の兆しを見せている#12 福住仁嶺(ThreeBond Racing)が続き、先のル・マン24時間レースで2位表彰台に立った2#0 平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が4番手に続いた。また、Q1・B組では前戦で自身初のポールポジションを手にした#38 坪井 翔(P.MU/CERUMO・INGING)が他車と異なるアプローチでタイムアタックを実施。タイミングを遅らせることでクリアラップを確保するのが狙いだったようだ。そのため、ワンラップアタックに臨んだ坪井はチェッカーが振られる直前に1分05秒820の好タイムをマークし、トップへ。計測2周目でアタックした#15 リアム・ローソン(TEAM MUGEN)が2番手に続き、3番手には#53 大湯都史樹(TGM Grand Prix)が。そして4番手にはベテランの#14 大嶋和也(docomo business ROOKIE)が入った。

午後2時55分、Q1を突破した全12台によるQ2がスタート。6台がすぐコースイン、残る6台がピットで待機する形で幕が上がる。その後ピットに戻り、しばし状況を見ていた各車が改めて動き出したのはチェッカーまで4分30秒を切った頃。先に8台が、さらに少し間隔をおいて残りの4台がコースイン、最後のアタックに向かった。このセッションでワンラップアタックに臨んだ車両は3台。うち、坪井がまず1分05秒795のタイムでトップに立つ。しかし、計測2周目に照準を合わせてアタックしていた野尻が坪井を上回るタイムをマークしてトップへ。だがその直後にチェッカーを受けた宮田がさらにタイムアップ。これで決まりかと思われた矢先、最後にトップを奪うことになったのは、大湯。マークした1分05秒468のタイムは、2番手宮田とわずか0.031秒差というものだった。なお、大湯のポールポジションは第3戦鈴鹿に続いて今シーズン2度目。また、自身通算3回目の獲得となる。

翌日の決勝も暑さが先行する厳しいコンディション。サーキット上空にはうっすらと曇り空が広がるも、気温28度、路面温度36度となる午後2時30分、51周にわたる戦いの火蓋が切って落とされた。ポールシッターの大湯、予選2位の宮田は無難にスタートを切る一方、3番手スタートの野尻、さらには5番手の平川が出遅れると、代わって坪井が3番手、ローソンが4番手で続いた。そんな中、1台のマシンがエンジンストールのためにダミーグリッド上でストップ。これでいきなりセーフティカー導入となった。また、ヘアピン立ち上がりでは#36 ジュリアーノ・アレジ(VANTELIN TEAM TOM’S)がスピンを喫して態勢を崩し、その直後にいた#19 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)と接触。ダメージを負った両車は、のちにピットインして戦線離脱となった。

レースは4周終わりでリスタートとなり、再び大湯がレースを牽引。さらに10周を過ぎてピットウィンドウが開くと、中団グループの5台がピットに戻り、ルーティンワークを完了させる。これを境に、翌周に2台、翌々周に3台がピットイン。上位陣では野尻が真っ先にピットインし、ライバルに揺さぶりをかけた。

レースは11周が終わる直前あたりから、トップの大湯のスピードが伸び悩み、背後の宮田との差が急激に縮まる。するとメインストレートでいとも簡単に宮田が逆転。新たなラップリーダーとして1コーナーに向かった。なおもペースが上がらない大湯は、13周目のストレートから1コーナーにかけて坪井の追撃に遭い、2位の座を譲っただけでなく、1コーナー進入時にアウト側へとコースアウトしたため、大きくポジションを落としてしまう。その結果、15周終わりにピットインし、仕切り直しを図ったもののその後もペースアップは叶わず。30周終わりで再びピットにクルマを戻し、レースを終えている。

トップで快走を見せる宮田は17周終わりでピットへ。6秒という速さで作業を終えてスタッフが宮田をコースに送り出す。すると、先に作業を終えていた野尻が背後に迫り、テール・トゥ・ノーズに。19周目のメインストレートでは幾度となく野尻が仕掛けたが、宮田はこれをシャットアウト。息詰まる攻防戦を制した。これで勢いに乗ったか、宮田はペースアップして野尻とのギャップを着実に広げ、”裏1位”をキープした。

レースは折返しを迎え、コース上のトップは坪井。この時点でピット作業未完了の車両は8台。今シーズン優勝経験のある坪井、ローソン、さらには試合巧者の平川らがどのタイミングでピット作業を行うか注目が集まったが、トップの坪井は思うほどペースが上がらない。結果、35周終わりでピットインした坪井だったが、コース復帰後は暫定8位で周回を重ねることとなり、事実上優勝争いが厳しくなる。また、平川もピット作業に7秒を要し、坪井の後方に甘んじることに。そして最後のピットインとなったローソンはペース良く走ってはいたが、コースに戻ると7番手へとダウン。中盤以降のピットインを選択したドライバーたちにとって、今回の戦略はうまく実を結ぶことがなかったといえる。

レース終盤、さらにペースアップした宮田に対し、2番手キープの野尻はペースアップならず、その差が広がっていく。また、3番手の牧野も予選ポジションからジャンプアップしたものの、野尻を攻略するほどのスピードはなく、ギャップを縮めるまでには至らない。結果、トップ3台はそれぞれのペースでチェッカーまで残りの周回を重ねて行く形となった。一方、4番手の座を巡る攻防戦がヒートアップ。予選8番手の#14 大嶋和也(docomo business ROOKIE)がポジションキープを見せるなか、背後から#7 小林可夢偉(Kids com Team KCMG)、さらには7番手から1台また1台と驚異的な速さで”オーバーテイクショー”を見せるローソンが続き、緊迫した展開のままファイナルラップへと突入する。互いにオーバーテイクシステムを活用し、まずローソンが1コーナーから2コーナーにかけて小林を逆転。その勢いのまま大嶋に迫ったが、大嶋も最後まで鉄壁のブロックを貫き、ポジションを死守。4位でチェッカーを受けることに成功した。

第3戦鈴鹿に次ぐ今季2勝目を果たした宮田。これでポイントランキングでもトップに浮上している。2位に入った野尻もランキング3位に。3位の牧野は、昨シーズン第8戦もてぎ以来となる表彰台となった。

激しいポジション争いが各所で見られたSUGO戦。次回第6戦からいよいよシーズン後半戦へと突入する。戦いの舞台は静岡・富士スピードウェイ。今シーズン2度目の富士戦は7月15、16日に開催される。

 

(文:島村元子 撮影:中村佳史)