SUPER GT 第4戦 富士 レポート&フォトギャラリー

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SUPER GT 第4戦 富士、Niterra MOTUL Zが今季初勝利

<GT500>
8月5、6日に静岡・富士スピードウェイでSUPER GT第4戦が開催された。今シーズン2度目の戦いを迎えた富士は予選日が晴、そして、決勝日は雨模様という異なるコンディションとなったが、装着するタイヤパフォーマンスを味方につけた#3 Niterra MOTUL Z(千代勝正/高星明誠)が勝利した。

前回の鈴鹿大会からおよそ2ヶ月のインターバルを経て迎えた今大会。今夏は平年をはるかに超える厳しい暑さに見舞われているが、今夏の富士戦も予選日は朝から気温が30度を超えるコンディションになった。

まずは公式練習でサクセスウェイトが比較的軽い#16 ARTA MUGEN NSX-GT(福住仁嶺/大津弘樹)がトップタイムをマーク。これに”シスターカー”である#8 ARTA MUGEN NSX-GT(野尻智紀/大湯都史樹/木村偉織が続いた。さらに、今大会でSUPER GTからの引退を表明した立川祐路が石浦宏明とともにドライブする#38 ZENT CERUMO GR Supraが3番手につけ、午後からの予選に向けて、”富士マイスター”の異名を持つ立川によるポールポジション獲得にも注目が集まった。

ノックアウト予選は午後3時53分にスタート。この時点で32度、路面温度は43度まで上昇し、眩しい日差しがコースを照りつけた。まず、Q1をトップ通過したのは16号車。朝からの好調さをキープし、1分27秒858のタイムでQ2への進出を決める。これに#24 リアライズコーポレーション ADVAN Z(佐々木大樹/平手晃平)が続き、8号車も3番手でQ1を突破。また、期待の38号車も石浦が5番手時計をマークし、見事、立川へとバトンを繋ぐことに成功した。一方で、前大会で優勝を果たした#19 WedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/阪口晴南)は9番手に留まり、あと一歩でQ2進出を逃している。

上位8台によるQ2は午後4時31分にスタート。気温30度、路面温度39度とQ1よりも逆に下がったことでラップタイムが向上。その中で、16号車がQ1で刻んだタイムをさらに縮めて暫定トップにつけると、8号車がこれに続き、ARTAの2台がフロントロウを独占するかに思われた。だが、チェッカーまで残り1分となった時点で24号車の佐々木が1分27秒763を叩き出し、トップを奪取。この後、続々とライバルたちもチェッカーを受けたが、24号車のタイムを上回れず。結果、24号車が今シーズン初のポールポジションを手にした。実のところ、24号車は前回の鈴鹿大会でトップタイムをマークしながら、その後の再車検で不合格となり、タイムが抹消されていた。今回のポール獲得は、見事な雪辱を果たすパフォーマンスでもあった。2位に続いたのは16号車。これに8号車が続き、シリーズランキング暫定2位の3号車が4番手につける好走を見せている。

決勝を迎えた日曜日は 、鉛色の空が上空に広がった富士スピードウェイ。午前中のサポートレース中にポツポツと雨が降り出し、ピットウォークでは傘なしで歩くには厳しい状態に。恒例のフライトパフォーマンスもキャンセルされたが、その後のウォームアップ走行では、路面こそ濡れてはいたが、雨は上がった状態。しかし、スタート進行には再び雨が落ち始め、フォーメーション前に行われる地元警察の白バイ、パトカーによるパレードランも中止となる。また、レースはセーフティカー先導のスタートへと変更。レースは3周目に事実上のスタートが切られた。

ポールスタートの24号車にとっては不利となるコンディションであったが、ライトウエットを得意とするミシュランタイヤを装着する3号車にとっては、まさに”願ったり叶ったり”の展開となり、あっという間に24号車へと詰め寄り、4周目にはトップを奪取した。レースは10周を過ぎると、徐々にコースが乾き始め、タイミングを見計らうようにドライタイヤへと交換するチームが続いた。これによって順位の変動も見られる中、35周目、スタートから約1時間が経過したタイミングでGT300車両が火災トラブルによって2コーナー立ち上がりでストップ。すぐさまセーフティカーが導入され、41周目にリスタートとなる。その後、レース折返しを過ぎると、ルーティンのピットストップが本格化した。

これを機に、暫定トップに立ったのは#14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太)。#39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛/中山雄一)、#37 Deloitte TOM’S GR Supra(笹原右京/ジュリアーノ・アレジ)、そして3号車が続き、これに予選で上位につけた#16 ARTA MUGEN NSX-GT(福住仁嶺/大津弘樹)さらに#8 ARTA MUGEN NSX-GT(野尻智紀/大湯都史樹)が食らいつく。

残り3分の1が近づく中、66周目の13コーナーでGT300車両が再び火災に見舞われる。コースサイドに避ける形でクルマを止め、消化作業が行われたが、火の手が上がり思うように消火作業が進まない。これを受け、午後3時43分には赤旗が提示され、一時中断となった。

各車がメインストレートでレース再開を待つ中、再び天候が悪化。加えて近隣での落雷があったとのことで、リスタートが延期され、午後4時30分にようやく再開のときを迎えた。SCに先導される形でチェッカーを目指したが、待機中にタイヤ交換が認められたため、各車は再びウエットタイヤへと換装。トップキープの3号車はギリギリまでタイヤ選択に迷う中、少ない雨に対応するタイヤを選択。これが奏功し、あっという間に後続車との差を広げ、逃げの態勢に入った。一方、2番手には16号車が続いたが、これに続いたのは#64 Modulo NSX-GT(伊沢拓也/太田格之進)。しかし、チェッカーまで7周の時点で#100 STANLEY NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐)に逆転を許してしまう。レースはこのままチェッカーを迎え、3号車は2位に45秒強の大差をつけて今シーズン初優勝を達成。前大会で悔しい結果を味わっただけに、表彰台であふれんばかりの笑顔を見せた。

なお、レース後に16号車と100号車に対し、ピットでの作業違反が判明。給油中にタイヤ交換を行ったというのが理由だった。そのペナルティとしてレース結果に40秒のタイム加算が行われたため、2位には64号車が繰り上がり、16号車は3位に下がっている。

 

<GT300>
GT300クラスもまた、装着するタイヤメーカーのパフォーマンスによって、ポジション争いが激化した。予選では、#4 グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝/片岡龍也)が6年ぶりにクラスポールポジションを手にするも、ウエットスタートに手こずって2番手スタートの#61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)に先行を許す。だが、さらに勢いを見せたのは、予選3番手の#11 GAINER TANAX GT-R(富田竜一郎/石川京侍/塩津佑介)。だが再びトップを奪還した4号車は、ドライアップし始めたコースにいち早く反応し、9周終わりでタイヤ交換を敢行する。ピットインで一旦ポジションを下げた4号車だったが、ラップタイムで大きく他車を上回り、またもトップに返り咲くこととなった。

一方、レースは32周目と後半の61周目にそれぞれGT300車両が火災トラブルに見舞われた。幸い、ドライバーの命にかかわるような大事にはならずに済んだが、最初の火災ではセーフティカー導入を経てリスタートを迎えることができたものの、2回目の火災はなかなか消化作業が進まず、赤旗が提示されてレースが一時中断する事態となった。加えてレース再開を待つ間、天候がまたも悪化。グリッド上でウエットタイヤへの交換が認められたものの、その後も二度に渡ってリスタートが遅れるなど、落ち着きのない状況が続いた。

およそ45分の中断後、午後4時30分にSCランによるレースが再開。71周終わりでリスタートを迎えると、ウエットタイヤでのメリットが少ない4号車に対し、勢いを増したライバルたちが背後から迫り、いとも簡単に4号車を”料理”。もはやこれまでかと思われたが、雨も降らず、また路面も乾きはじめるとコース上では意地と意地がぶつかり合い、引き続き攻防戦を展開。絶妙な駆け引きを含む見どころ満載の展開になった。

結果、77周目に4号車がまたもトップに立つと、これに11号車、#88 JLOCランボルギーニGT3(小暮卓史/元嶋佑弥)がトップ3を形成。その中で11号車がコース状況を読んで、ドライタイヤへの換装を決断する。ライバル達を大きく上回るラップタイムを見てか、4号車もピットに向かうと、88号車、さらにはその後ろに迫る#7 Studie BMW M4(荒聖治/柳田真孝)もタイヤをスイッチ。上位陣が続々と”最後の勝負”に打って出た。ところが、4号車はコース復帰時に痛恨のスピン。コース復帰は果たしたが、ポジションダウンは否めず。優勝の夢が潰える。

その後、11号車はタイヤを換えずにトップを死守していた61号車を逆転。このまま逃げ切り、シーズン待望の初優勝を達成した。61号車は背後の#60 Syntium LMcorsa GR Supra GT(吉本大樹/河野駿佑)から猛追されつつも、なんとか2番手を保持していたが、チェッカー目前の最終コーナーでこの2台が接触。61号車はスピンを喫し、ポジションを落としてのチェッカーに。また、60号車も背後の7号車、さらに#6 DOBOT Audi R8 LMS(片山義章/ロベルト・メリ・ムンタン/神晴也)に逆転され、4位でフィニッシュしたが、レース終了後、接触に対するペナルティが科せられて10位へと繰り下がっている。

波乱に満ちたレース展開が続いた第4戦富士。これでシーズン前半戦の戦いが終わったことになる。後半の初戦は8月26、27日に鈴鹿サーキットで開催され、引き続き450kmに及ぶ”真夏の決戦”が繰り広げられる予定だ。

 

(文:島村元子 撮影:中村佳史)