スーパーフォーミュラ 第8戦 鈴鹿

スーパーフォーミュラ 第8戦 鈴鹿

SF今季最終の鈴鹿大会、ワンデーレース初日は赤旗終了。野尻がポール・トゥ・ウィン

10月28日、三重・鈴鹿サーキットにおいて2023年全日本スーパーフォーミュラ選手権の鈴鹿大会が開幕した。シーズン開幕同様、今大会も土曜日、日曜日にそれぞれ予選と決勝を実施するワンデーレースが行われる。土曜日の第8戦は、レース序盤に大クラッシュが発生。レース再開が叶わず、そのまま赤旗終了に。結果、ポールポジションスタートの#1 野尻智紀(TEAM MUGEN)が優勝を果たしている。

いよいよシーズン最後の戦いを迎えた鈴鹿サーキット。金曜日の午前にはタイトル争いの渦中にいる#37 宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)、#15 リアム・ローソン(TEAM MUGEN)そして野尻智紀の3選手が記者会見を行ない、チャンピオン争いに向けての抱負、意気込みを口にした。一方、午後からの専有走行では、野尻がトップタイムをマーク。ランキング3位からの逆転劇に向けて理想的なスタートを切っている。

迎えた土曜日。前夜早くに雷雨に見舞われた鈴鹿だが、朝にはすっかり秋晴れが戻り、やや冷たい風は吹くものの絶好のレース日和に。ノックアウト予選では、野尻がシーズン4度目のポールポジションを獲得、宮田やローソンを牽制した。また、宮田も譲ることなく予選2番手に続き、野尻とのポイント差減少をを最小限に留めてみせた。一方、ローソンは、Q1・A組を2位で通過するも、Q2では、赤旗中断を経て再開した残り3分のセッションで、アタックのタイミングをうまく味方に着けられず。結果、7番手に沈んだ。

午後2時に号砲を迎えた決勝。朝よりもやや薄曇りの上空からは引き続き冷たい風が最終コーナーから吹いている。気温21度、路面温度26度のなか、31周の戦いが幕を開けると、ポールの野尻が好スタートを決める一方、宮田と予選3番手の#5 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)は蹴り出しが遅れ、代わって予選4番手の#6 太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が2番手へと躍り出た。だが、宮田は落ち着いて2周目の1コーナー飛び込みでアウト側から見事なオーバーテイクを披露。ポジションを取り戻し、トップ野尻を追った。

トップの野尻が5周目へと向かう中、4周目の130Rで後続車2台が絡む大きなアクシデントが発生。17位走行中だった#36 笹原右京(VANTELIN TEAM TOM’S)と、SUPER GTのSUGO戦で負傷した山本尚貴に代わり参戦を果たした#64 大津弘樹(TCS NAKAJIMA RACING)がサイド・バイ・サイドからの接触で、笹原はスピンしながらグラベルの中でクルマが跳ね、宙を舞った末にタイヤバリア先のフェンスに激突。大破したクルマのパーツが辺り一面に散乱する事態となった。

午後2時42分、即、セーフティカーボードが提示されるも、すぐ赤旗が出されてレースは中断。コース上に残る20台がクルマを停めて長く待機していたが、午後3時30分には、「コース復旧のため、レース3周完了時点の結果でレース終了」となることが場内アナウンスで告知され、トップを快走していた野尻が第8戦のウィナーとなった。2位には宮田が続き、3位には太田。太田にとっては、スーパーフォーミュラにおける初表彰台獲得となっている。

予想だにしない形で幕を下ろすこととなった第8戦。規定周回の75%を満たさずにレースが終了していることから、入賞ドライバーには通常のハーフポイントが与えられる。今日の結果を受け、野尻はランキング2位に浮上。依然として宮田のトップランカーに変わりはないが、レース前にあった10点の差は6.5点まで縮まっている。また、6位に終わったローソンにもまだタイトル獲得の可能性はある。明日こそ31周を走破した上で、今シーズンのチャンピオン獲得の瞬間を待ちたいところだ。

予選正式結果
決勝正式結果

(文:島村元子 撮影:中村佳史)