SUPER GT 第8戦 もてぎ レポート&フォトギャラリー

SUPER GT 第8戦 もてぎ レポート&フォトギャラリー

SUPER GT第8戦、au TOM’S GR Supraが勝利し、年間王者に

<GT500>
11月4、5日、栃木・モビリティリゾートもてぎにおいて、SUPER GT第8戦が行なわれた。300kmで競った今シーズンのラストレースを勝利したのは#36 au TOM’S GR Supra(坪井翔/宮田莉朋)。前戦からの連勝となっただけでなく、待望のシリーズチャンピオンにも輝いている。

11月上旬ながら、25度以上の気温が続いたもてぎ。絶好のレース観戦日和に恵まれた。シーズン最後、タイトル争いも絡むなかで始まった予選では、まず逆転王者を目指す#3 Niterra MOTUL Z(千代勝正/高星明誠)が公式練習でのトップタイムに続き、予選Q1もトップで通過。さらにQ2でもその流れをキープし、2番手に0.392秒という驚くべき大差をつけて、文句なしのポールポジションを獲得。ランキングトップの36号車にプレッシャーをかけた。

一方、その36号車は、もてぎとの相性が今ひとつなのか3番手どまり。タイトル争いをする2台の間に#17 Astemo NSX-GT(塚越広大/松下信治)が割って入り、結果的には3メーカーが予選トップ3を仲良く分け合った。

迎えた決勝。今シーズンをもってSUPER GTを”卒業”するNSX-GTのNSXデモンストレーションランなどが行なわれ、2000年に参戦し、シリーズチャンピオンとなったCastrol 無限 NSXと、来シーズンからGT500クラスに参戦するCIVIC TYPE R-GTがともにパレードランを披露。サーキットを沸かせた。

和やかな雰囲気を経て、300km・63周のレースが幕を開けると、まずは3号車がポールシッターから快調に飛ばしていく。2番手にはシーズン初優勝を狙う17号車、さらに36号車がその背後につけていたが、レース開始からおよそ3分の1を過ぎた頃、36号車が17号車との差を縮め、激しいテール・トゥ・ノーズを繰り広げたのち逆転に成功。すると、その動きを警戒したのか、ほどなくしてトップ3号車がルーティンのピットインを行ない、ドライバー交代、タイヤ交換、給油作業を行なう。すると、今度はこの動きを見て36号車、さらに17号車もピットへ。ともにスムーズに作業を済ませ、”セカンドステージ”へと突入した。

それぞれ、勝利を目指してアプローチするなか、サーキット上空では日差しが去り、どんよりとした曇り空からは雨が落ち始めた。ただし、極めて限られた場所だけ強い雨が降るなど、先行き読めないコンディションということもあり、ウエットタイヤへの交代を敢行するまでには至らず。結局は、このままドライタイヤでの周回を重ねていく。ところが、レース終盤に向かうと再び雨が降り始め、より落ち着きのない展開に。ルーティン作業を終えた車両としてトップの座をキープする3号車を筆頭に、36号車が2番手に続いたが、その差は12秒と大きく広がった。

レースは残り10周が近づくと、再び雨が落ち始めて路面が不安定になってくる。すると、59周のS字進入で3号車がまさかのスピンアウトを喫し、グラベルにスタック。のち再スタートは切ったものの、大きくポジションダウンし、2番手にいた36号車、さらには17号車を逆転して3番手を走っていた#23 MOTUL AUTECH Z(松田次生/ロニー・クインタレッリ)らの逆転を許しただけでなく、念願であるタイトル獲得のチャンスが事実上潰えてしまった。

レース終盤にして、トップを奪取した36号車は、速さと強さをうまく引き出しながら最後まで力強い走りを披露。シーズン3度目のトップチェッカーを受け、待望のシリーズチャンピオンを掴み取った。また、1週間前にスーパーフォーミュラのタイトルを手にした宮田は、史上最年少のWタイトルホルダーにもなっている。

一方、レースは、36号車に続き、23号車が2位チェッカー。ベテランらしい走りでレースをうまくまとめてみせた。そして3位には17号車が続き、シーズン2回目の表彰台に上がった。

 

<GT300>
ランキングトップの#52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰)と、同2位の#2 muta Racing GR86 GT(堤優威/平良響)との差は20点。つまり、2号車は予選ポールポジション獲得がマストとなる。公式練習からトップタイムを刻んだ2号車は、存在感を見せつけるべく、予選でもQ1・B組をトップ通過。さらにQ2では、初優勝を狙うライバルたちとの激しいアタック合戦をも制してトップタイムをマーク。逆転タイトルに望みを繋いだ。対する52号車は7番手で予選を終えた。

迎えた決勝でも2号車の勢いは止まらない……はずだった。しかし、不安定な天候の影響もあってか、予選2位スタートの#.88 JLOCランボルギーニGT3(小暮卓史/元嶋佑弥)がハイペースで迫り、背後からの強烈なプッシュを受け続けた。すると、15周目にはテール・トゥ・ノーズの末に逆転を許し、2位へと後退。25周終わりには、88号車と同じタイミングでルーティンのピットインを行ない、タイヤ無交換を敢行したが、88号車が先にコースへ戻っただけでなく、予選3位からスタートし、21周終了時点でピットインしていた#65 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/篠原拓朗)にも逆転を許す状況に追いやられる。

結果としてクラストップの88号車に対し、猛追を見せたのは2号車ではなく65号車。1秒を切る攻防戦だったが、88号車はベテラン小暮が巧みなドライビングで65号車篠原の猛追をシャットアウト。終盤は大きく差を広げてトップチェッカー。チームはシーズン途中の第4戦からウラカンGT3 EVO2を投入しており、念願の初優勝を果たすこととなった。2位65号車に続いたのは、#6 DOBOT Audi R8 LMS(片山義章/ロベルト・メリ・ムンタン)。予選13位スタートから不安定な路面を味方につけ、シーズン3度目の3位を掴み取っている。

一方、チャンピオンを目指していた2号車は、65号車のうしろで周回を続けていたが、優勝しなければタイトルが手に入らないこともあり、雨が本降りになってきたことを受けて53周終わりにピットへと戻り、ウエットタイヤに置換。すべてを賭けて逆転を狙ったが、無情にも雨は続かず。逆にポジションを下げて9位で戦いを終えた。これを受け、7位でフィニッシュした52号車がシリーズチャンピオンを獲得。チームはSUPER GT参戦7年目にして、クラス王者となり、吉田、川合も初タイトルを手にすることとなった。

(文:島村元子 撮影:中村佳史)