SUPER GT 第6戦 SUGO レポート&フォトギャラリー

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雨に翻弄されたSUGO、Deloitte TOM’S GR Supraが大逆転勝利

<GT500>

9月21、22日に宮城・スポーツランドSUGOにてSUPER GT第6戦「SUGO GT 300km RACE」が行なわれた。秋雨前線が停滞し、レースウィーク中はほぼウエットコンディションとなり、タフな戦いとなったが、14番手スタートの#37 Deloitte TOM’S GR Supra(笹原右京/ジュリアーノ・アレジ)が驚異的な追い上げと強い戦いを見せ、完勝。シーズン2勝目を挙げている。

金曜日の搬入日から雨模様となったSUGO。本格的な雨のなか、もし翌日の予選が天候悪化で実施されない場合は、午前中に行なう公式練習の結果を決勝スターティンググリッドとして採用する可能性があると内示があったことを受け、各車ベストラップをマークすべく早速開始とともにコンディションを見計らいながらアタックが行なわれた。

しかしながら、雨量も多く、コース上には川もできていたために足をすくわれるクルマが次々と現れる。幾度となく赤旗が提示され、都度セッションが中断した。そんななか、開始から1時間あまり、雨脚が多少落ち着いたタイミングを味方にした各車がタイムアップ。前回の富士でチーム移籍後初表彰台に上がった大湯都史樹がドライブする#38 KeePer CERUMO GR Supraがトップタイムをマークし、GT300クラスとの混走セッションが終わった。

その後、GT300クラス専有走行が始まるも、すぐさま1台がコースアウトし、赤旗に。再開後も赤旗となるアクシデントが発生。セッションはまだ5分残されていたが、天候回復が見込めないということから、GT300クラスだけでなく、その後実施予定だったGT500クラスの専有走行も含めてキャンセルされた。

また、午後からの予選も開始時間を遅らせて回復を待ったが、状況は好転せず。結果、午後3時10分頃には予選中止のアナウンスが入り、サーキットに足を運んでくれたファンに向けて、急きょ2度目のピットウォークを実施することとなった。

これにより、38号車が決勝でトップスタートとなり、0.3秒差で2番手に#14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/福住仁嶺)、さらに#19 WedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/阪口晴南)が続き、GR Supra勢がトップ3を独占した。

 

翌日の決勝日もウエットコンディション、正午すぎには横殴りの激しい雨となり、またしてもスタート時間がディレイされる。ようやく午後1時にフリー走行が行なわれるも、気温は17度、路面温度は18度極めて低い数値を刻んでいる状態。結局、走行から10分も経たないうちにコースアウトからのクラッシュが発生。またも赤旗終了となった。

しかし、ほどなくすると雨量も減って、どんよりとした雲の合間から薄日が差すまでに天気が回復。ようやう雨を気にしない天候へと戻るなか、本来の予定からおよそ1時間遅れとなる午後2時22分にフォーメーションラップが始まる。セーフティカーによる2周のフォーメーションラップ、さらにはそのままセーフティカーランスタートとなり、事実上レース開始は3周終了時。まだ水煙が高く上がるなか、残り81周の戦いがようやく幕を開ける。

先頭スタートの38号車を先頭に、4番手の#36 au TOM’S GR Supra(坪井翔/山下健太)や5番手の#12 MARELLI IMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット)がポジションアップ。その勢いで36号車がトップを奪うと、4番手にいた#17 Astemo CIVIC TYPE R-GT(塚越広大/太田格之進)もジャンプアップ。その後も慌ただしくポジションが入れ替わった。そんななか、14番手から猛追する37号車も逆転に逆転を重ね、36周には2番手にいた14号車をパス。さらには僚友36号車の背後に迫り、馬の背のブレーキングでついにトップへと上り詰める。

レースは折り返しに当たる42周目にGT300車両がレインボーコーナーでスピンし、クラッシュ。このアクシデントにより、上位陣は続々とピットへなだれ込み、ドライバー交代をはじめとするピット作業を実施。その後、コース上の状況からFCYからSC導入へと切り替わることになった。

第2スティントは、SCラン明けの50周目から攻防戦がヒートアップ。逃げる37号車に対し、12号車、38号車と続いたが、58周目に38号車が2位に浮上。8秒近く離れたトップを攻め立てた。だが、この猛追に37号車も素早く反応。61周目にはチームベストラップをマークし、後続との差をさらに広げて一時は22秒ほどの大差を築いた。

こうなるともはや37号車の独走状態。トップ3は不動のままチェッカーを迎え、37号車はシーズン2勝目を達成。シリーズ争いでも2位へ浮上した。一方、暫定トップの36号車が4位で終わったことから、37号車との差は1点に。チャンピオンを巡る戦いは混沌とした状況になった。

 

<GT300>

雨の公式練習から終始好タイムを刻んでいたのが、#20 シェイドレーシング GR86 GT(平中克幸/清水英志郎)。ミシュランタイヤを武器に絶妙の安定感を披露した。これに#61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)、さらに#777 D’station Vantage GT3(藤井誠暢/チャーリー・ファグ)がトップ3のタイムを刻み、この順位をもって決勝スタートが切られた。

 

レースの幕が上がると、GT500クラス同様に、GT300クラスでも波乱のポジション争いが繰り広げられる。トップを快走していた20号車だが、思うようにペースアップならず、後続車に追い立てることに。さらには車両トラブルが発生し、リタイヤを強いられた。そのなかでトップを奪ったのが、5番手スタートの45 PONOS FERRARI 296(ケイ・コッツォリーノ/リル・ワドゥ)だった。

早くも前半でトップを奪取すると、コースアウト車両が原因でFCYやSCが導入される直前にタイミング良くルーティンのピット作業後を終えてコースに復帰。なおクラストップで力走していたが、その背後に迫ったのが#65 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/篠原拓朗)だった。レース開始後1コーナーでまさかのコースアウトを喫するも、ドライアップするコンディションを味方につけて大きくジャンプアップ。さらにピット作業後はスリックタイヤで快走。メインストレートは前を行く45号車に速さがあったものの、根気よく差を詰めながらひたすらプレッシャーを掛け続け、66周目の最終コーナーで45号車のラインがアウト側に膨らんだ隙をついて、イン側へ。そのままストレートで並走し、1コーナーをトップで駆け抜けていった。その後も勢いは衰えることなく、4秒の差をつけてチェッカー。第4戦富士に次ぐ連勝を果たしている。また、この結果によって、65号車はクラスランキングでも暫定トップへと浮上することになった。なお、2位に甘んじた45号車だが、今シーズンから参戦するチームにとっては初の表彰台。また、第2スティントを担当したワドゥはSUPER GTに参戦する女性ドライバーとして初の表彰台に立っている。

続く第7戦オートポリスは10月19、20日に開催。第5戦鈴鹿が延期になったことを受け、サクセスウェイトのままでの一戦となる。難コースとして知られるオートポリスだけに、SUGOとはまた異なるシビアなレースになりそうだ。

 

フォトギャラリー

 

(文:島村元子 撮影:中村佳史)