スーパーフォーミュラ 第3戦 SUGO レポート&フォトギャラリー

スーパーフォーミュラ 第3戦 SUGO レポート&フォトギャラリー

赤旗終了のSF第3戦、勝者は野尻

6月22、23日に宮城・スポーツランドSUGOにおいて、全日本スーパーフォーミュラ選手権の第3戦が開催された。雨模様となった決勝では、13周目の最終コーナーでクラッシュが発生。赤旗中断の末にレース再開が見込めないとして、このまま終了。ポールポジションからトップを走行していた#16 野尻智紀(TEAM MUGEN)が今シーズン2勝目を挙げている。

前回の大分・オートポリス戦からおよそ1ヶ月。今度は東北随一のサーキットであるSUGOへと戦いの場を移し、シリーズ序盤戦の締めくくりを迎える。SUGOは1周3.6キロに満たないショートコースながらアップダウンを織り交ぜたレイアウト、かつスタンドからコースも近く迫力ある戦いを目にすることができる。また、例年のようにハラハラドキドキするドラマチックな展開になることが多く、今年もまた・・・

イベント開催直前、21日には近畿、東海、関東甲信、さらに予選日には北陸、中国地方が梅雨入りしたと伝えられるなか、サーキット周辺はまぶしい青空が広がる好天気。午後からはさらに気温が上昇する暑い位置日となった。

まず、朝のフリー走行でトップタイムをマークしたのは、#39 大湯都史樹(VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)。3番手にはルーキーかつ初のSUGO戦となる#15 岩佐歩夢(TEAM MUGEN)がつけ、存在感をアピールする。なお、ITOCHU ENEX TEAM IMPULの19号車には今回新たに平良 響がエントリー。昨シーズンまでスーパーフォーミュラ・ライツに参戦し、シリーズランキング2位だった平良にとっては、初のスーパーフォーミュラ戦。今シーズンはシングルシーターのレース活動がないため、初戦から毎戦ドライバーが変わっている19号車で善戦することで、今後のシート獲得につなげたいところだ。

午後2時からスタートしたノックアウト予選のコンディションは、気温31度、路面温度に至っては50度まで上昇。厳しい条件下でのタイムアタックとなった。まず、Q1・A組では、#16 野尻智紀(TEAM MUGEN)がトップ通過。ひと足先にベストタイムをマークしていた#36 坪井 翔(VANTELIN TEAM TOM’S)がこれに続いた。一方、朝のフリー走行でトップだった大湯は4番手に留まっている。また、平良も10番手で予選終了。惜しくもQ2進出は果たせなかった。

続くQ1・B組では、牧野を先頭にアタックが始まり、チェッカーと同時に暫定トップタイムをマークしたが、そのあとにやってきた岩佐が大きくタイムを縮めてトップを奪取する。さらに#14 大嶋和也(docomo business ROOKIE)が岩佐に続き、牧野は6番手でQ1通過となった。

ポールポジションが確定するQ2は7分間のセッション。チェッカーまで1分ほどのタイミングでアタック合戦が始まり、真っ先にタイムを刻み始めたのが岩佐だった。だが、その後ろを走る野尻が各セクターで岩佐のタイムを上回る力走を見せる。結果、チェッカーが振られるなか、まず岩佐が1分05秒364のタイムでトップに立ったものの、すかさず野尻がこれを上回る1分05秒244をマーク。今シーズン初となるポールポジションを手にした。そして、岩佐に続き3番手タイムを坪井が刻み、前回の勝者である牧野が4番手につける結果となった。

 

迎えた決勝日は一転して雨模様。気温も低く、朝から冷たい雨が降り続けた。小康状態になると今度は霧が広がり、視界不良に。午前9時55分からウエットタイヤを装着して走行が始まったものの、タイヤが思うように温まらず、スピンする車両も。中でも、予選2位の岩佐はメインストレートで態勢を崩してスピン。後ろを向いたままメインストレートを滑るように走り、ピットレーン側のコンクリートウォールに接触。これを受けてセッションは赤旗中断となり、そのまま天候の回復を待つも改善が見込めず、再開することなく終了している。

なお、この赤旗を受け、大半のドライバーがウエットタイヤでの走行が果たせなかったとして、レース前のウォームアップ走行の時間が従来の8分から12分追加されて20分で実施されることに。しかし、午後からのセッションが近づくと、再び霧が濃くなって十分な視界を確保するのが難しい状態となる。結果、5分遅れの午後1時35分から走行が可能となった。ところが、開始から5分も経たないうちに、最終コーナー立ち上がりで#64 山本尚貴(PONOS NAKAJIMA RACING)がスピン、アウト側のガードレールに激突する。幸い、自らクルマを降りることはできたが、フロント、リヤとも激しく損傷したマシンは決勝レースを走ることはなかった。また、このアクシデントによるガードレース修復に時間を要したため、レースは当初の予定よりも1時間5分遅れの午後3時35分にフォーメーションラップ実施となった。

山本を除く20台がダミーグリッドに整列してもなお、霧が立ち込め視界の確保が十分でないことから、セーフティカー先導によるフォーメーションラップがスタート。5周目走行中にセーフティカーのルーフライトが消灯して6周目から実質的なレースが始まったが、上位車両が1コーナーへと向かう一方、後続を走る#14 大嶋和也(docomo business ROOKIE)が最終コーナーで態勢を崩してスピン、タイヤバリアに接触したことを受け、再度セーフティカーがコースインする。その後、改めて14周目からレースが再開したが、その直前、またしても最終コーナーで#38 阪口晴南(VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)がスピンを喫し、アウト側のガードレールにリヤから接触し、パーツがコース上に散乱したため、レースはこれを受け赤旗中止に。各車一旦メインストレート上にクルマを停めて待機していたが、赤旗提示からおよそ25分後に、この先の天候回復が見込めないこと、またガードレールの修復に時間を要すことなどの理由からレース継続が難しいという見解を発表。レース終了がアナウンスされた。

これによって、レースは赤旗が提示された13周目の1周前、12周完了にて最終結果となり、野尻がポール・トゥ・フィニッシュでのシーズン2勝目を達成。2位に岩佐、3位には坪井が続き、タフなコンディションによる戦いを終えている。なお、今回はレース距離の70%未消化のため、入賞者に授与されるのはハーフポイントとなる。

 

次回、第4戦は舞台を静岡・富士スピードウェイに移しての一戦。7月20、21日に真夏の決戦を展開することになる。

 

(文:島村元子 撮影:中村佳史)