SUPER GT 第7戦 オートポリス レポート&フォトギャラリー

SUPER GT 第7戦 オートポリス レポート&フォトギャラリー

悪天候のオートポリスは、ワンデーレースで開催に

<GT500>

10月19、20に開催予定だった大分・オートポリスでのSUPER GT第7戦。レースウィーク初日は霧と雨の悪天候で全セッションがキャンセルとなり、翌20日にワンデーレースとして実施された。その予選では#24 リアライズコーポレーション ADVAN Z(松田次生/名取鉄平)ポールポジションを獲得するも、決勝では荒れた展開を味方につけた#39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛/中山雄一)が、予選10位から逆転優勝を果たした。

ワンデーレースとなったことで、日曜日は午前8時にまずGT300クラスの予選がスタート。セッション終盤に赤旗で一時中断したため、続くGT500クラスの予選は予定より3分遅れで開始した。今回は、Q1、Q2で2選手がマークしたベストタイムの合算ではなく、30分間のセッションでマークした各ベストタイムがスターティンググリッドとして採用されるため、ひとりの選手がアタックを担当。気温10度、路面温度13度と寒いコンディションのなか、さらに路面もまだ完全に乾いてはいなかったため、まずウエットタイヤを装着してフィーリングを確認することから始まった。ただ、アクシデント等でタイム計測できずに終わることを避ける意味でも、早めのタイミングでアタックを開始するチームも多く見られた。

セッション終了まで10分を切る頃から本格的なアタックラップがスタート。そのなかで、残り3分になって24号車が1分33秒162を叩き出し、トップへと浮上。#14 ENEOS X PRIME GR Supraがこれに続いた。その後、この2台のタイムを上回るクルマは現れず、24号車の今シーズン初のポールポジションが確定した。

 

計時予選からおよそ4時間半が経過し、午後1時20分には地元の大分県警によるパレードラップがスタート。その後、フォーメーションラップを経て、今シーズン3度目の3時間レースの幕が上がる。予選時より晴れて時折日差しもあったことから、気温16度、路面温度23度のコンディション下で戦いが始まった。

ポールの24号車がホールショットを決めてトップをしばし牽引するも、タイヤがしっかりと温まってくると、後続からペースアップした車両が猛追。予選2番手の#23 MOTUL AUTECH Z(千代勝正/ロニー・クインタレッリ)がトップを奪取し、その後ハイペースで一気に2位以下との差を広げにかかった。そんななか、23周目には最初のFCYが導入され、その後SCへ。28周を終えた時点でレース再開を迎えた。これを機に、1回目のルーティンピットを済ませるチームも現れたが、トップの23号車を含め、多くが34〜35周目のピットインを行ない、セカンドスティントへと突入する。だが、その数周後には2台の車両が接触して、2回目のSCが導入される。5周後の42周終了時に再開すると、トップの23号車はその後ライバルに先行する形で60周終了時点で2回目のピットインに取り掛かった。

ドライバー交代を含む”フルサービス”を行ないコースに復帰した23号車。これに対し、1回目のピットインを境にペースアップを果たして2位までポジションを上げてきた#3 Niterra MOTUL Z(高星明誠/三宅淳詞)はその翌周にピットへ。こちらもフルサービスでコース復帰を果たしたが、ちょうどそのタイミングで3回目のSCが導入され、またもレースはSCのコントロールを受けることに。しかし、3号車そしてそのうしろにいた39号車も同じくピットイン真っ只中だったが、ピットクローズとなる前に2台ともコースへ復帰。SC先導によってレースペースで走れないライバルに追いつくという、”恩恵”を受けることになった。しかも、39号車においてはピット作業で3号車を先行。ひと足先にコース復帰をも果たすと、2回目のピット作業を終えたクルマのなかで、23号車を押さえてトップに立つことになった。レースリスタート後、全車2回目のピットインが終了し、名実とも39号車がトップに。それまでトップを牽引してきた23号車も負けじと猛追するもペース的には39号車が上回っており、その差は開く一方。逆に23号車は後続車両との攻防戦に強いられ、しばらくすると39号車の独走を許してしまう。

レースはこのままチェッカーを迎えるかに思われたが、残り15分の時点でGT300車両が大クラッシュ。FCYからまたしてもSC導入へと切り替わり、メインストレートでは各クラス別の整列作業が行なわれた後にSC先導による周回が続いた。結果、92周目走行中に3時間レースが成立し、これをもって第7戦のレースが終了することとなった。待望のシーズン初優勝を果たした39号車に、23号車、3号車のNISMOコンビが続き、トップ3を形成。チャンピオン争いでは、ランキング3位の#100 STANLEY CIVIC TYPE R-GT(山本尚貴/牧野任祐)がホンダ勢トップの4位に入り、ランキングトップである#36 au TOM’S GR Supra(坪井翔/山下健太)とのポイント差を縮めることに成功している。

 

<GT300>

予選開始は午前8時。まだ不安定な路面状況につき、各車ウエットタイヤでの様子見を行なったが、なかには最初からスリックタイヤを投入して濡れたコースでもじっくりと周回を重ね、ドライアップする路面に併せてタイムアップを狙うチームも見受けられた。一方、難しいコンディションで態勢を崩してコースアウトしたりスピンするクルマも出るなど、落ち着かない状況に。

そのなかでアタック合戦を繰り広げたのが、#6 UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARI(片山義章/ロベルト・メリ・ムンタン)と#56 リアライズ日産メカニックチャレンジGT-R(佐々木大樹/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)の2台。交互にベストタイムを更新するアタックを続け、最終的には、6号車が1分46秒524のタイムでチーム初めてのポールポジションを手にすることとなった。

 

決勝が幕を開けると、各チームが装着するタイヤメーカーの違いによって、ペースも大きく異なるのか、あっという間にポジションの入れ替えが始まった。まず、3位スタートの#777 D’station Vantage GT3(藤井誠暢/チャーリー・ファグ)がトップに立ったが、レース開始から折り返しを前にして、シリーズ争いに絡む#2 muta Racing GR86 GT(堤優威/平良響)がトップを奪取する。ところが2号車はリスタート手順違反を取られ、ペナルティ消化のためにドライブスルーを課せられた。SC導入明けのリスタートの時点では一旦順位を落としたが、今度は再び導入されたSCのタイミングを味方に、またもポジションアップしたが、レースは予想以上の激しい展開のまま、いよいよ終盤へと向かう。

チェッカーまで残り30分あまり。この時点でトップを快走するのは、# 88 VENTENY Lamborghini GT3(小暮卓史/元嶋佑弥)。速いレースペースとノーミスの戦いで確実にポジションアップを果たすと、後続にも大差をつけて独走態勢を築き上げた。また、最後の最後に再びSCを要する大クラッシュがあったために、レースはSC先導の走行のまま3時間が経過。GT500のトップ車両が92周を走り切った時点でレース終了を迎えた。

結果、GT300クラスでは88号車がシーズン2勝目を達成。続く2位には序盤のコースアウトと後半でのドライブスルーペナルティに泣いた2号車が入った。優勝こそ逃したが、ランキング争いでクラストップに立つ#65 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/篠原拓朗)とのポイント差を縮めることには成功した。そして3番手には#96 K-tunes RC F GT3(新田守男/高木真一)が続き、コンビとしては14年ぶり、復活してからは初となる表彰台に上がっている。

ワンデーレースでの戦いは波乱が続く展開となり、最後まで落ち着きのないレースで幕を下ろすことになった。いよいよ今シーズンも2戦を残すのみ。例年のもてぎはノーウェイトでの戦いだが、今シーズンは台風接近で延期された鈴鹿が最後の一戦となるため、次のもてぎはまだサウセスウェイトを搭載して戦うことになる。ストップ&コ゚ーの特性をもつコースでは、ひとつでも予選で前のポジションを手にすることが求められるだけに、予選日から激しい駆け引きが繰り広げられそうだ。

 

フォトギャラリー

 

(文:島村元子 撮影:中村佳史)