300kmのもてぎ戦、au TOM’S GR Supraがシーズン2勝目を達成!
<GT500>
11月3、4日、栃木・モビリティリゾートもてぎにおいて、SUPER GT第8戦「MOTEGI 300km RACE」が行なわれ、予選3番手からスタートした#36 au TOM’S GR Supra(坪井翔/山下健太)が圧倒的な速さを見せつけ、独走での優勝を達成。シーズン2勝目を挙げるとともに、タイトル獲得に王手をかけた。
SUGO戦以降、あまり天候に恵まれていない今シーズンのSUPER GT。第8戦もてぎは予選日が終日雨となり、時折激しい雨に翻弄されてしまう。公式練習中は特に雨量が多く、GT300クラス、GT500両クラスの混走こそできたものの、赤旗が何度も出てロングランができない状態に。さらに、GT300専有走行中にも赤旗となり、これ以上のセッション続行は難しいという判断から、GT500専有走行はキャンセルされ、またFCYテスト等も見送られることになった。
午後からの予選を前に、一旦雨が上がり、天候も回復するかに思われたが、午後2時からの予選を迎えると再び雨が降り始めたが、走行は可能な状態に。また、GT500クラスのセッションになると若干雨も弱まった。ただ、いつまた雨脚が強まるか不安定な状況下であったため、各車一斉にコースへと向かい、クリアラップをとるべくアタックに勤しむ。タイヤに熱を入れ、アタックラップに向かうと、チェッカーラップで好タイムをマークしたのが#64 Modulo CIVIC TYPE R-GT(伊沢拓也/大草りき)。これに#14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/福住仁嶺)、さらに#8 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #8(野尻智紀/松下信治)が続き、Q1を終了した。一方、ランキングトップの36号車は8番手、同2番手の#100 STANLEY CIVIC TYPE R-GT(山本尚貴/牧野任祐)は6番手という結果だった。
Q2は午後3時49分からのスタート。気温18度、路面温度19度と午後からはほとんど気温、路面温度ともに変化が見られず。そのなかで100号車が早めのアタックモードに入ったが、セッション終了間際にトップタイムを叩き出したのは、64号車。GT500クラスはQ1とQ2の合算タイムによってスターティンググリッドが決定するため、64号車はこの時点でライバルに対して2秒近い差をつけるという圧倒的な速さを見せた。そんななか、8号車がQ2でのトップタイムを更新。だが、64号車の合算タイムには及ばず2番手を手にする。さらに36号車もチェッカーラップにQ2の2番手時計を叩き出し、合算タイムでの3番手へと浮上。タイトル争いにおいて貴重な1点を計上することに成功している。なお、最終的に64号車のトップは変わらず。結果、3年ぶりのポールポジションからもてぎのスタートを迎えることになった。
前日の雨から一転、決勝日は早朝から秋晴れの青空が広がり、雲ひとつない小春日和の下、午後1時には300kmの戦いが幕を開けた。気温21度、路面温度32度というコンディションの下、パレードラップ、フォーメーションラップを経て、ポールスタートの64号車がそのままレースを牽引する。これに対し、後方では8号車と36号車が競り合い、また、10周もしないうちにトラブル等でコースアウトした車両による2度のFCY導入など、早く波乱の様相。結果、FCY解除のリスタートでもポジションが変わり、その中から36号車がトップを奪取すると後続との差をぐんぐん広げにかかった。追う64号車と8号車も負けじと猛追を続けるが、その後方からは#38 KeePer CERUMO GR Supra(石浦宏明/大湯都史樹)が追い上げを見せて次々と逆転。2位へと浮上した。
レースウィーク初のドライコンディションとなった決勝。今回は、全チームが早めのピット作業を行なう戦略を採り、22周から24周の間にピットインを実施。以降、チェッカーに向けて長い第2スティントが幕を開ける。そのなかでさらに快走を見せたのは、トップの36号車。首位を明け渡すことなくさらに周回を重ねて完全ひとり旅に。一方、2位38号車と3位8号車のバトルは8号車が再び先行し、逆に38号車は後続からペースアップしてきた#16 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #16(大津弘樹/佐藤蓮)との攻防戦を強いられた。だが、巧みなライン録りで16号車の猛攻をシャットアウト。3位の座を死守している。
ランキングトップでもてぎ戦に臨んだ36号車は予選3番手と優勝で得られたポイントを加点。ランキング争いで2位だった100号車が決勝では6位に留まったため、その差が18点まで開くことに。一方、ランキング3位だった#37 Deloitte TOM’S GR Supra(笹原右京/ジュリアーノ・アレジ)はトラブルでチェッカーならず。代わって3位フィニッシュを果たした38号車がランキング3位へと台頭。最終戦では、37号車を含むランキングトップ4台がシリーズタイトル獲得の可能性を残して臨むことになる。
<GT300>
ウェット宣言下での予選につき、GT300クラスは、Q1およびQ2の合算タイムではなく、Q2でのタイムがスターティンググリッドとして採用されることとなった。Q1は全27台によるセッションとなったが、強い雨のなかで足下をすくわれるクルマが続出した。この結果で上位14台をグループ1、15位以下をグループ2としてQ2を実施。Q2・グループ1では、Q1トップ通過の#45 PONOS FERRARI 296(ケイ・コッツォリーノ/リル・ワドゥ) が序盤にトップに立ったが、終盤にタイムアップするクルマが続出。最後の最後に#31 apr LC500h GT(小高一斗/中村仁)が好アタックを見せてトップタイムをマーク。シーズン初ポールをつかみとった。2番手は、#7 Studie BMW M4(荒聖治/二クラス・クルッテン)、さらに#18 UPGARAGE NSX GT3(小林崇志/小出峻)が続き、これまでとは異なる顔ぶれが上位を占めた。一方、ランキングでクラストップにつける#65 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/篠原拓朗)は4番手に。だが、同2位の#2 muta Racing GR86 GT(堤優威/平良響)は16番手と出遅れる結果だった。
秋晴れのなか、号砲となった決勝レース。31号車がクリアスタートを決め、これに7号車、さらには予選4番手の65号車がポジションを挙げて追いかける形で周回が進む。一方、FCYからのリスタートをも武器にして、着々とポジションアップを果たしたのが、ランキング3番手の#88 VENTENY Lamborghini GT3(小暮卓史/元嶋佑弥)。予選では上位14台入りを果たせず、Q2・グループ2での予選に甘んじたが、早くも10周目には6番手まで浮上する躍進を見せた。
一方、ルーティンのピットインを真っ先に行なったのは、2号車。揺さぶりをかけるかのようにタイヤ無交換作戦を敢行する。この動きを見た65号車も、表彰台が手中にある有利なポジションながら、同様にタイヤ無交換で臨戦態勢をとった。すると、追い立てる88号車は後輪2本交換で応戦。作業時間を短縮した。
GT500同様に、残りおよそ3分の2で第2スティントへと突入するなか、少しずつポジションを落としたのが31号車。これに先立ち、勢いのある88号車がまず65号車を逆転。その流れで34周目には31号車をも”料理”し、クラストップに立った。65号車も負けじと31号車を逆転し、88号車を追うも、2台の差はあっという間に開き、終盤は88号車の独走態勢となる。
終盤になると、入賞圏内を走っていたクルマにトラブルが発生。レース3回目のFCYが導入されると、そのリスタートでポジションアップに成功したのが18号車。序盤、ポジションを落としていたが粘りある走りで挽回し、31号車から3番手をもぎ取ることに成功した。結果、88号車が前戦オートポリスに続いて2連勝を達成。なお、88号車は昨シーズンももてぎでも勝利しており、理想的なレースをやってのけ、ランキングでも2位へと浮上を果たした。2位は65号車。確実にポイントを積み上げて、ランキングトップの座をより盤石なものとしている。そして3位に続いた18号車は、今シーズン待望の初表彰台を手にすることとなった。
GT500、GT300両クラスとも、ランキングトップが大きくリードする形で最終戦の”第5戦”鈴鹿を迎えることになるが、その戦いは、12月7、8日に開催。冬の鈴鹿ではどのようなドラマが繰り広げられるのか、期待が膨らむ。
フォトギャラリー
(文:島村元子 撮影:中村佳史)